寝具は選ぶ時代から、合わせる時代へ。UPDATE. 2018.9.09
寝具に対する概念が変わった!
この本ご存知ですか?
もうずいぶん前に買った本なんですが・・・、
平成11年に4月8日に発行されたものでした。
当時はベストセラーとなり、幾つかのメディアにも取り上げられ、この先生もTVにご出演されたと記憶しております。
この本が原因なのか、人々の潜在的ニーズがこの本によって顕在化したのかわかりませんが、日本人の寝具(睡眠)に対する概念が急激に変わっていったのは事実です。
20年以上前の寝具選びの基準は?
どちらかというと見た目。
デザインや色、厚みや豪華さ、価格、パッケージ(寝心地とは全く関係ない)などで選んでいました。 🙁
当時は、寝心地を確認して購入するという意識もなかったですから・・・。
そして私達販売する側も、仕入れする際に、見た目や価格(売れるか売れないかが基準)で選んでいたように思います。(恥)
当然メーカーも、心地良さよりも、売れる寝具作りに傾いていました。
ところが、前述の本の登場で、『枕』に対する概念が変わりました。
『自分に合った枕によって、毎日の睡眠の質が変わるんだ!』と。
当時、日本人の5人に1人は、睡眠に不満を感じているというアンケート結果もあった。
当然、人々の思考は、これまでの既製の枕を選ぶこと(ニーズ)から、自分に合った枕を合わせて作りたいというウォンツ(欲求)へと変わった。
最初は、肩こり・首の痛み・不眠・目覚めの悪さなどの、負の解消が優先されますが、今や世界中で睡眠の研究が進み、その役割や重要性が医学的科学的に明らかになり、メディアなどで伝えられ、睡眠とは人生をより充実させるために非常にポジティブな行為と受け止める方が増えてきた。
そうなると、ますます自分に合った枕が欲しいということになるのですが、そもそも人それぞれに体格も体質も、寝ている環境(敷き寝具や寝室)や睡眠の習慣等、みんな違うのに、それに『合う』という定義ができていない。
『合う』ってどういうことなのか?
そもそもこの基準を知らずに、「なかなか自分に合う枕がないのよね〜。」と、おっしゃる方がほとんど。
『合う』の定義
『枕が合う』とは、どういうことなのか?
一言で言うと、ぐっすり眠れて疲れが取れて、翌朝清々しく目覚められる。
そのためには、自然で正しい寝姿勢を維持することが必要。
ではさらに、
自然で正しい寝姿勢とは?
人類の進化の過程で得た、二足歩行の人間しか持っていない背骨のカーブ(生理的湾曲)を、寝ている状態で維持すること。
わかりやすく言うと、できるだけ直立している姿勢をキープしていること。(仰向きでも横向きでも)
また、『合う』という定義は、背骨にストレスのかからない状態と言い換えることもできる。
それぞれの寝具には、それぞれの役割がある。
そして、枕はこの理想の姿勢の首から上(主に頚椎)を担当する。
では、肩から下(主に胸椎から尾骨まで)はというと、敷き寝具(マットレスや敷き布団)が担当する。
枕だけでは、背骨のバランスは整わない。
よって正しい理想の寝姿勢は、枕と敷き寝具のバランスによって成り立つ。
よく考えてみれば、当たり前と言えば当たり前の話ですが、複雑でわかりにくいと言えばわかりにくい。
だから、そこには基準(専門的な知識と経験)を持ったプロの存在が重要になるんですね。
使う道具は、いろいろな意味でその人に合わせて調整するのが基本でしょ。
例えば、パソコンをするときの机と椅子の高さ、運転の時のハンドルとシートの距離、料理をする時のキッチンのカウンターの高さ、アスリートが使う道具etc。
合っていなければ、その原因がそれに相応しい結果を生むし、逆も然り。(原因と結果の法則)
道具にはそれぞれ役割があって、肝心なことは、その組み合わせ方です。
合わせ方を間違うと、お互いの長所を打ち消しあうことにもなりかねません。
ベッドならば、下からフレーム+マットレス+ベッドパット+シーツ+枕+ブランケット+掛け布団+掛けカバーというアイテムの組み合わせ方ですよね。
よくお客様に現状の組み合わせ方を聴いていると、「もったいなぁ〜。」とか「高い買い物したなぁ〜」とか「本末転倒ですよ」とか思うことがあります。
合わせる過程で、大切にしていること。
それは、私達がお客様のことを知ること。
お客様のこと(情報)を知ることなく、お勧めするのは、単に強引さとテクニックであって、合わせることではなく、選ばされていると私は思います。
だから、お客様が本当に聴くべき説明は、商品の内容ではなく、『何故、私に、この商品を勧めてくれるの?』という根拠です。
そして、その説明に納得するかどうかです。
『寝具は、選ぶ時代から合わせる時代へ』
そう気付いてくれる人が増えるとともに、多くの人の眠る環境が、この世界で、この地球上で、一番心地良い場所(楽園)になるようお手伝いできれば幸せです。
いとしや 店主