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思いがけないプレゼントUPDATE. 2013.2.18

今回の旅も、いよいよ最終章。
最後の目的地であった『メゾン・エ・オブジェ』の会場をあとにすることに・・・。

やっと終わったという安堵感と名残惜しさが共存する複雑な心境。


外に出ると、相変わらずの雪。
けっこう降っているなと思いつつ、切符を買って電車に乗り込む。
特に遅れている様子も無く、出発した電車だが、2駅目で止まってなかなか出発しない。


ドイツもそうでしたが、こちらの電車の扉は、日本のように車掌さんが開閉するのではなく、開けるときだけは、降りる人や、乗り込む人が、専用のボタンを押してドアを開ける。
外からも中からも、ボタンを押さなければ、ドアは開かない。
最初その事を知らなくて、電車のドアの前で、ずーっと立ってて、危うく乗り損ねそうになったこともある。

ヨーロッパに行くと、案内のサイン(文字)がわからないので、とにかくまわりの人がやっていることを観察し、自分のとるべき次の行動を理解していく。
そういう意味では、知らないうちに観察力が研ぎ澄まされていきます。


この時は、自分は扉のすぐ横の席に座っていたのですが、その扉から1人の乗客が降りて行ってから、扉が開きっ放し。
これは、日本でも扉を閉めるのは、車掌さんが安全確認をしてするので、出発する時には当然閉まるだろう待っていました。


ところが、5分、10分、15分経っても、電車が出発しない。
外は相変わらずの雪、しかも自分はドアのすぐ横の席に座っているので、ほぼ外、雪が降り込んで来ます。
「寒い~~~。」
自分の前に座っている女性も寒そう。
「早く出発しないかなぁ~。」
すると、ひとつ前の扉から、待ちくたびれたのか、1人の男性客がボタンを押してドアを開け、外に出て行った。
当然、ドアは開けっ放し。
「あ~~、隣も開けっ放しになった~~。」と思った瞬間。


少し奥に座っていた、ガタイのいい若い兄ちゃんがドアに駆け寄って、開きっぱなしのドアに両手をかけ、勢いよくガチャーンと閉めてしまった。(何故か、このお兄ちゃんは、上着を脱いだのか、Tシャツ1枚。寒そ!)
「えっ、閉まるの?!」
何か特別なボタンを押したようには見えなかったが・・・。
「よしオレもやってみよう。」と思ったが・・・、待てよ。
もしかしたら、あの兄ちゃんえらいバカ力で本当は閉まらないドアを、閉めてしまったとか。
いやもしかしたら、見たことないけど、こういう時だけ押せるボタンがあって、それを押してからで無いと閉まらないとか。


・・・・。


あのときの自分は一瞬想像したのです。
静まり返った電車の中、自分が席を立った瞬間、まわりの人の視線は自分に集まるだろう。

そしてドアに向かい両手を掛け、力一杯閉めようとしたが、閉まらなかったら・・・、苦笑いをしながらすごすご席に戻る自分の姿。
かっこ悪~~。
恥ずかしい~~。
まわりからの『何やってんの?』の的な視線。
この時正直少々躊躇しましたが、「誰も知ってる人いないし、え~わい、笑われてなんぼじゃ、旅の恥はかき捨てや~!オレもやったれ!」
ガバッと立ち上がって、ドアに両手を掛け、力一杯脇をしめて、両腕を引き寄せると、その開いていたドアは、素直にスーーーッと動きだし、さっきのお兄ちゃんの同じガチャーンという音で閉まった。


「ハハッ、できた。」
ちょっとした達成感に浸りながら、平静を装い、自分の席にコトンと座ると、思いがけないプレゼントが・・・。


『メルシー。』
前に座っていた女性の方から、やさしく微笑みながら、「ありがとう。」って言われたのです。
嬉しい。


あのときの、心地良さは、言語では表現できませんね。
見返りを期待しないで、行動したときに頂く感謝の言葉。
これほど人間が心豊かに感じることはないんではないかと思いました。
そして、我々商人としての魂の原点も、ここにあると思えました。
これからも仕事を通して、こんな一瞬を出来るだけたくさん創っていきたいです。
電車が止まって約30分、やっと動き出しました。
多分雪の影響だと思います。
そして向かうは、地下鉄のある駅。
その駅で電車を降り、階段から地上へ出ると・・・、こんな素敵なものが迎えてくれました。
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しかし、今こうして冷静に考えると、あの電車の中の30分の出来事は、これからの私にとっての深いメッセージをもらったような気がします。


眠り屋 店主

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