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生産体験!UPDATE. 2009.11.30

9.7:194:350:0:0:NONALNUM-303931313238313532347E3031:right:1:1::
この布、柿渋染めをした布なんです。


「うちで扱う柿渋染めのコタツカバーはどうやって出来るんだろう?」


そう思って、5年前の夏1日弟子入りして、柿渋染めを体験してきた時の作品(?)です。
『柿渋染め』それは私が想像していたものより、えらく大変な作業でした。
柿渋の液にチャポンと漬けて乾かして、それを何回かするのかな~的なイメージでしたが・・・・。


まず、それは真夏の強い日射しを必要とするのです。
柿渋は漬けてそのままでは色が出ません。
それには紫外線が必要なんです。
日に干すことによって、あの独特の風合いがでるのです。
しかも何度も繰り返す。
必然的に、冬の弱い日射しでは時間がかかってしょうがない。
だから、夏炎天下、麦わら帽かぶっての作業。
そして待つことも仕事とおっしゃってました。


「急いでも納得できるものはできない。相手が自然だから・・・」と師匠。
ただ、それを効率的にやる方法もある。
化学染料を混ぜることだ。
世の中には、『柿渋染め』と書いた、まがい物が多く出回っている。
何の世界も、受け皿に合わせて注がれるものの質が変わってくる。
本当に心地いいものはやはり生産効率重視の延長線上には存在しない。
そこにあるのは刹那的な消費の繰り返し。


あの時、実際に自分がその工程を体感して、ものづくりの深さと、そこに存在する人の想いを認識した。
高度経済成長と共に、人は消費体験を多く持つ機会を得た。
しかしその反面、生産体験の機会を失った。
何かを作り出すプロセスを誰かと共有し、そのものによって誰かに喜ばれる。
その喜びが自分の喜びとなる。
これが正しい労働観だ。


いとしやで扱うものも出来るだけ生産現場を私が訪れるのは、出来上がったものからはすぐには伝わって来ない人の深い想いや高い技術やプロの経験がそこにはいつも存在してるから。
それを伝えるのが、私達の使命。
これからも、いとしやで出逢った方々と大切な『事』を共有していきます。


眠り屋 店主

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